売り手市場がさらに加速!「2021年問題」が転職活動に及ぼす影響は
みなさんこんにちは。転職フェア.jp編集部 転職フェア攻略作戦室です。
昨今、転職をはじめとした採用市場にまつわるトレンドワードとして、「2021年問題」という言葉を見かけるようになりました。これは、浜銀総合研究所主任研究員の遠藤裕基氏の論文「人材不足に拍車をかける『新卒採用の2021年問題』」にて提唱されたキーワードです。
「新卒採用の2021年問題」という部分だけ見ると、新卒採用についての話題がメインで転職市場にはそれほど影響はないと思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。新卒採用・転職市場を含めた地殻変動が起こると予想されます。
では、「2021年問題」と呼ばれるこの問題は、転職市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
目次
- 「2021年問題」と日本型新卒一括採用の崩壊
- 欧米型中途採用の競争市場化で新卒と中途の垣根はなくなる
- 「持つ人・企業」と「持たざる人・企業」に二極化する
- 過渡期にあたる今が転職のチャンス!転職フェアに足を運ぼう
- まとめ
それでは本編へ!
「2021年問題」と日本型新卒一括採用の崩壊
現在、就職・転職をめぐる市場は、売り手市場と考えられています。遠藤氏は、2022年3月卒の就職活動時期となる2021年以降から企業側が採用内定者を確保しにくくなることを指摘。人員募集をかけているのに人手が足りない企業が次々と現れる危険性を示唆して、「2021年問題」と名付けました。
「2021年問題」の引き金となるのは、少子化です。日本において、少子化問題が顕在化したのは1989年のことです。この年、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの数)が1.57と戦後最低を更新しました。
それでも年間出生数自体は、1990年代にはなんとか横這いを維持していましたが、2000年代以降はついに減少。その影響を受けるのが2022年卒の学生の新卒採用です。国が2017年に発表した22歳人口の将来推計によると、2020年の124.4万人から、2022年・122.7万人、2025年・115.1万人、2030年・110.9万人と右肩下がりに減っていくことが予想されています。
そんな折、経団連が新卒一括採用を見直し、通年採用を行うことを発表しました。これまで経団連が主導してきた日本型の新卒一括採用は、学生に同じタイミング、同じ条件でスタートラインに立たせることで、あまねく学生に就労のチャンスを与え、あまねく企業に人材を提供するという仕組みでした。しかし、このまま学生の数が減少に転じると、募集をかけているのに人材が提供されない企業が現れるおそれがあります。
急な変更による混乱を避けるために、数年は政府主導による新卒一括採用を行うことが発表されています。しかし、人口減少という根本的な問題が解決しない以上、いずれは新しい採用システムにシフトせざるを得なくなることは想像に難くありません。
若者人口減少が引き起こす「2021年問題」は、日本型新卒一括採用システムの行き詰まりにも関わります。これから数年は新しいシステムへの移行の模索までの過渡期に突入することが予想されるでしょう。
では、今後、予想される採用システムとはどのようなものなのでしょうか。そして、転職希望者にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
欧米型中途採用の競争市場化で新卒と中途の垣根はなくなる
遠藤氏は、新卒一括採用に変わって、新卒が一般の労働者と同じ土俵で戦い、職を獲得する欧米型の採用市場が始まると予想します。経団連が発表した新卒一括採用の見直しにより、従来の「3年春活動開始」という区切りがなくなりました。大学に入学したばかりの学生に企業がコンタクトを取り、学生も自身を売り込むような時代が到来するかもしれません。
そんななか、今後、活発になると予想されるのはインターンです。中途採用者に比べて経験で劣る学生はそれを補うために早い段階から積極的にインターンを目指すことになります。
一方、中途採用者は若さや将来性で勝る学生と同じ土俵で戦わなければならなくなります。新卒採用者が減る分、企業としては中途採用でその分を埋めるという向きもありますが、学生のように若さや将来性をアピールすることはより難しくなるでしょう。会社に対して自身のキャリアをどのように活かすことができるかを明確に伝えて学生との差異化を図る必要があります。
新卒と中途の垣根がなくなるとはいえ、求職者と企業のバランスが変わらない以上、売り手市場は続くでしょう。転職希望者にとっては就職氷河期よりも仕事を見つけやすい状況に変化はないようにも見えますが、欧米型採用を導入することで、これまでにはなかった問題も浮上します。
その問題とは、どのようなものなのでしょうか。
「持つ人・企業」と「持たざる人・企業」に二極化する
欧米型採用市場が導入されても、売り手市場の問題である人手の枯渇は根本的に解決されません。むしろ、人材の枯渇を前提とした激しい競争がはじまり、人・企業ともに「持つ人・企業」と「持たざる人・企業」の二極化が加速度的に進むでしょう。
欧米型採用が実現すれば、新卒一括採用を前提とした年功序列の出世システムや給与形態も変化せざるを得ません。これからは会社のなかでどのような職務をこなしてきたか、どのように貢献してきたのかが求められます。
また、企業は限られたパイからより優秀な人材を見つけるため、「ワークタイムバランスが整った働きやすい会社である」ことを強くアピールする必要があります。そして、常にアンテナを張り巡らせる優れた人材は、アピールに成功した企業に集中します。その結果、「スキルがある人材」「働きやすい会社」に人気が集まり、「スキルがない人材」「人気のない会社」は排除されていきかねないのです。
身についたスキルや過去の経験がこれまで以上に求められる採用市場では、未経験の業種へのチャレンジは簡単ではなくなります。幸い、五輪や万博などの大きなイベントを控える2019~2020年までは、活発な市場は続くことが予想されます。大変動が起こる2021年に向けて、キャリアと経験を重ねる転職をめざすなら今がチャンスです。
では、具体的にどのように動き出せばよいのでしょうか。
過渡期にあたる今が転職のチャンス!転職フェアに足を運ぼう
転職するためのアクションといえば、求人サイトに登録する、エージェントの手助けを借りるなどがあります。そのなかでもおすすめなのが、多種多様な企業が参加する転職フェア。転職フェアには、各社の採用担当者と話ができる、エージェントのアドバイスを受けられるといったメリットがあります。
この転職フェアにも今後、変化があるかもしれません。今後、新卒と中途採用の垣根がなくなることで、フェアやイベントの形が変わることが考えられます。「新卒には新卒の、中途採用には中途採用のイベントを」といった区分がなくなる可能性も留意しておきましょう。
現在は採用市場の形が変わる過渡期です。今のうちに転職フェアに足を運んで、自分に合った仕事、興味のある職種を探してみるとよいでしょう。
まとめ
先日、経団連の中西会長が「終身雇用を前提にすることが限界になっている」という発言をして注目を集めました。これは、新卒に当たる若者人口の減少が始まる2021年をきっかけに、日本企業を支えてきた年功序列の仕組みを大きく変えていくというメッセージであるとも読み取れます。
転職希望者にとってはプラスにもマイナスにも左右する「2021年問題」。学生も交えた採用競争に乗り遅れないためにも、採用担当者やエージェントの生の声を聞ける転職フェアなどを最大限活用して、今から早めの動き出しを心がけましょう。
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